ビワの葉温灸の効果~そのパワーと薬効~
ビワというとふっくらとしたオレンジ色の初夏の果実として知られていますが、実は葉のほうは古くから薬効のある生薬として人々の病を治すのに役立ってきました。
ビワの木は「薬木の王様」
三千年もの昔、古代インドで記された仏教経典「涅槃経」には「ビワの葉や枝、茎、根には大きな薬効があり、どんな病苦も癒す」と書かれています。
その経典にはビワの木のことを「大薬王樹(最高の薬木)」、ビワの葉のことを「無憂扇(病気を治して憂いを無くす葉)」と呼んでいました。
当時のインドでは古代文明が栄え、医学も発達し、薬物療法も高い水準にあったのですが、そのようななかで、ビワの木や葉の薬効に最高の評価が与えられていたのです。
中国では明の時代、医家の李時珍が記した漢方書「本草綱目」にもビワの葉の効果を説く記載があります。(「胃を和し、気を下ろし、熱を清し、熱毒を解し、脚気を養ずる」。)
日本には約1500年前、仏教伝来とともに伝えられ、奈良時代に光明皇后が創設された「施薬院」でビワの葉療法が行われたと伝えられています。
以来、僧侶が寺の境内にビワの木を植えて村人にビワの葉療法を行い、病人を救ってきました。
当時のビワの葉療法はビワの葉を患部に当てるというものでした。
次第に仏教の加護と施術が一体となり、ビワの葉に経文(宗派によって異なりますが、浄土真宗は「南無阿弥陀仏」、日蓮宗は「南無妙法蓮華経」など)を書いて火にあぶり、それで患部をなでるという静岡県の禅寺「金地院」の「金地院療法」が広く知られるようになりました。
炙ったビワの葉で患部をなでるやり方から、ビワの葉の上からお灸をするという「ビワの葉温灸」という方法に一般化していったのです。
日本では、ビワの木を「医者いらず」と呼ぶ地方もあれば、逆に「ビワを植えると病人が出る」という迷信もあります。
この迷信は、庭にビワの木があると、その葉を求めて病人が押し寄せる、ということから生まれたようです。
ビワの葉がなぜ身体に良いのか
ビワの葉にはアミグダリン(ビタミンB17)やエムルシンなどの薬効成分が含まれています。
ビワ葉を火であぶると、その熱でこれらの薬効成分が反応し合って微量の青酸配糖体が発生し、それが皮膚を通して吸収されてさまざまな効果を発揮します。
アミグダリンには強い抗がん作用があり、ガン細胞を直接殺しながら、一方では栄養素(ビタミンB17)としての働きで正常細胞を活発にし、自己治癒力を高め、間接的にガン細胞に対抗するといわれています。
また、アミグダリンは体内で分解される過程で、安息香酸という成分が作られます。
安息香酸には強力な鎮痛作用があり、モルヒネよりも強い効果がある、とまで報告されています。
ただ、この抗がん作用の強いアミグダリンだけを人工的に取り出して大量に注射しても、充分な効果が得られなかった検証報告があります。
つまり、ビワの葉の薬効には、アミグダリンなどの薬効成分だけではなく、他の抗がん成分や未知の物質も含めた無数の成分が、人工ではできない絶妙のバランスで配合されているのです。
それこそが自然の力そのもので、ビワの葉療法ではビワの葉を丸ごと使うので、ビワの葉に宿る自然の力をそのままいただくことができます。
ビワの葉温灸の効果とは
ビワの葉療法には、抗がん作用や鎮痛作用だけではなく、血液浄化作用や殺菌・抗ウイルス作用などがあります。
温灸をすることで、これらの作用に加えて東洋医学で言う経絡を流れる気や血の流れを良くし、内臓の働きを正常にします。
- 痛みのある症状に
- 肩こり・首痛・腰痛・膝痛・頭痛・坐骨神経痛・五十肩・リウマチ・生理痛など
- 西洋医学との併用で
- 抗がん剤や放射線・薬の副作用対策・免疫力を高めるために・回復を早めるために
- 病後のケア・未病治のために・病院に行くまえに
- 自然治癒力・免疫力を高めたい
- 病院や薬が嫌いなかた
- 滋養強壮・疲労回復に
- 民間療法・家庭療法に興味のあるかた
- このような症状に
- かぜ(感冒)・気管支炎(急性・慢性)・気管支拡張症・肺炎・ぜんそく・肺結核
- 心臓神経症・狭心症・動脈硬化症・高血圧症・低血圧症
- 胃炎(急性・慢性)・胃アトニー・胃下垂・胃けいれん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・腸炎(急性・慢性)
- 便秘・下痢
- 胆嚢炎・胆石症・肝炎(急性・慢性)・膵臓炎
- ネフローゼ・腎炎・腎盂炎・腎結石症・膀胱炎
- 貧血
- 糖尿病
- 関節炎(関節リウマチ)・筋炎(筋肉リウマチ)
- 五十肩・肩こり・腰痛・打撲・むちうち症
- 頭痛
- 顔面神経麻痺・三叉神経痛・肋間神経痛・坐骨神経痛
- 不眠症・ノイローゼ・自律神経失調症
- てんかん
- 半身不随
- 痔
- 湿疹・蕁麻疹
- 水虫・毒虫刺傷
- 月経困難症(生理痛・生理不順)・こしけ・不感症・不妊症・更年期障害・子宮筋腫・乳腺炎・乳の分泌不足
- 冷え症
- 夜尿症・小児ぜんそく・子供の虚弱体質
- カタル性結膜炎・春季カタル・眼精疲労・偽近視・白内障・緑内障
- 中耳炎・耳鳴り・めまい・立ちくらみ
- 鼻炎(急性・慢性)・蓄膿症・咽頭炎・急性喉頭炎・急性扁桃炎・アデノイド・扁桃肥大症
当院のビワの葉温灸について
当院のビワの葉温灸では、まず最初にビワの葉+コンニャク湿布のダブル温湿布で全身を温めます。
使用するビワの葉は約10枚、コンニャクは約20枚。
これにより、コンニャクの特殊な酵素とビワの葉の温熱刺激が複合的に作用します。
ビワの葉の成分が体内の奥深くまで浸透していき、ビワの葉温灸の効果がより高くなる素地を作るのです。
温灸はまずは肝臓・腎臓を丁寧に温灸し、ビワの葉の薬効を浸透させていきます。
肝臓と腎臓は毒素や老廃物を分解、排泄する臓器で、肝臓・腎臓の働きが弱くなると慢性病や難病、癌になりやすくなります。
患部や症状のある部位だけではなく、背中、首、お腹、手足の基本経穴(ツボ)に隈なく温灸します。
経絡の状態を脈診と入江FTシステムで診断し、異常を引き起こしている経絡やツボに温灸し、気血のめぐりを良くしていきます。
ご希望の箇所があればそこを重点的に温灸もします。(粘膜や眼球、炎症箇所など温灸ができない箇所があることご了承ください。)
足先、手先から頭までたっぷり90分間、丁寧に温灸することでビワの葉の薬効が全身に浸透していきます。
この90分間、使用するビワの葉は約10枚。
温灸を当てる葉は常に薬効が届くように、温灸箇所を変える毎に新鮮な葉に替えていきます。
ビワの葉をあてながらレイキヒーリングも行っていきます。レイキとは人間が本来もっている自然治癒力のパワーです。
ビワの葉に病気治癒を願って経文を書いて炙ったという昔の人々の思いを受け継ぐように、温灸も心をこめて丁寧におこなっていきます。
施術後は当院自家製のビワの葉茶をおだしします。
ご希望があればビワの種の試食やビワエキスもご紹介します。
使用した約10枚のビワの葉はお帰りの際に患者さまにお渡ししております。
葉は温熱で色が変化したりしていますが、まだ使えます。
痛みのあるところに葉のツルツルした面をあてそのうえからカイロや湯たんぽをあててもよいです。
葉を紙袋に入れて外に吊るして数日間乾かし、洗濯ネットやお茶袋に入れてお風呂に入れるとビワの葉浴になります。
ビワの葉浴はお湯がまろやかで身体の芯からポカポカ温まります。
葉には殺菌効果もあり数日間は追い炊きで入れます。
ただし、一度温灸で使用した葉っぱはお茶などにして口に入れてはいけません。
また身体に当てるのは患者さま本人のお身体のみ。他の方には使用しないように!
難病やガンの場合、ビワの葉温灸は家庭療法でコツコツと続けていくことで効果があがります。
ビワの葉療法はとにかく継続することが大事。
朝・昼・晩と一日三回おこなうのが理想ですが、それで厭になってしまうのなら朝・晩に。それでも面倒なら、せめて晩だけでもおこなってください。
お風呂上がりの温かくなった身体を冷やさないように部屋を十分に暖かくしておこなってください。
本来なら家庭療法は自分の身体には自分でおこなうものですが、ビワの葉温灸はゆったりとリラックスしておこなうもの。ご家族が手当てしてあげてください。
これまでビワの葉温灸の方法をご家族にお伝えする機会を設けてきました。
温灸やお灸に馴染みのない方でも、ほぼ一度で習得しています。
ご家庭で安全で安心して行えるコツも伝授いたします。
ツボの探し方、道具はどこで何を買えばいいのかなどもご指導いたします。
お気軽にお問い合わせください。
※尚、当院の「ビワの葉温灸」は、新鮮なビワの葉に艾(もぐさ)を固めて棒状にした「棒灸」を火で燃やして行う温灸施術です。
電気式で同名の温熱治療器がありますが、これとは全く違います。電気式は当院では扱いません。ご了承ください。
◎参考文献
「体と心がよみがえる ビワの葉自然療法」望月研著 池田書店
「家庭でできる自然療法」東城百合子著 あなたと健康社
「枇杷葉温圧の快癒点」枇杷葉温圧健康会
amazonで購入できるビワの葉温灸の関連書籍のご紹介です。
自然療法の第一人者として知られる東城百合子氏の書籍にはビワの葉温灸について詳しく書かれています。
ビワの葉のお茶はほのかに甘くてとても飲みやすいです。飲み続けると風邪をひきにくく、花粉症やアレルギー知らずの身体になっていきます。癌を患う方にとってはまさに「飲む抗がん剤」です。
様々な商品が出ていますが、おすすめの飲み方はとにかくよく煮出すこと。弱火でじっくり濃い色になるまで煎じてください。ティーバッグタイプでも薬缶で煮出すのが効果的な飲み方です。
ビワの種には強力な抗がん作用、腫瘍縮小作用、免疫を正常にする力があるといわれています。言わば「食べる抗がん剤」として、いぼやできものを小さくする、花粉症軽減のために摂取するのをおすすめします。大量摂取はくれぐれも避けてください。